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画像生成AIを快適に動かすならこれを買え!『Stable Diffusion XL 1.0』編【リフレッシュレートから選ぶGPUの最適解⑦】

DOS/V POWER REPORT 2023年秋号の記事を丸ごと掲載!

大注目の画像生成AI技術 Stable Diffusion XL 1.0

ローカルのPCで画像生成が可能なAI技術として注目を集めているのが「Stable Diffusion」だ。高速な生成にはビデオメモリ容量が重要ということもあって、12GB以上を搭載するビデオカードが一部で人気に。どこまで速度に影響するのだろう?

 せっかく17種類のGPUを集めたので、「Stable Diffusion」における画像生成の速度も比べてみよう。リフレッシュレートの話題から離れるが、番外編と見てほしい。

Stable Diffusion web UI

 Stable Diffusionは無料で利用でき、簡単に使うためのツールはいくつか登場しているが、定番なのがAUTOMATIC1111の「Stable Diffusion web UI v1.6.0」だ。今回は、このUIと最新版となるStable Diffusion XL1.0(SDXL1.0)を利用して画像を生成する。なお、SDXL 1.0は画像生成にBaseとRefinerの2パス方式を採用しているが、ここではBaseだけを利用。また、GeForceはCUDA版、RadeonとArcはDirectML版を利用しているため、環境は同一ではなく、各種条件を同じにしても生成される画像は異なる。RadeonとArcは参考程度と見てほしい。GeForceはビデオメモリが8GBを境に速度が大幅に変わる点に注目だ。

Stable Diffusionでは、コマンドライン引数を指定することで起動時に高速化や安定化を行なうためのオプションを追加できる。上記は今回のテストで使用したオプションだ。Radeon、Arcでは安定動作のために多くを追加している。
コマンドライン引数は、生成を実行するためのバッチファイル「webui-user.bat」の「set COMMANDLINE_ARGS=」の後ろに追記することで利用できる
画像生成の実行中はGPU使用率は100%に到達。画面はRTX 4070 Tiのものだが、ビデオメモリ使用量は11.7GBに達している

手軽に試したいなら「Fooocus」が便利

 導入と使い方が簡単なStable Diffusion対応ツールとして「Fooocus」にも注目が集まっている。Stable Diffusion web UIと同じくWebブラウザ上で動作するが、短いワードでも高度な調整でリアルな仕上がりが楽しめるほか、さまざまなキーワードがあらかじめ用意されており、手軽に画像生成にチャレンジできる。原稿執筆時点で対応するGPUはGeForceシリーズのみだった。

Adobe のAI技術「Firefly」はどうなの?

 商用利用も可能なAI技術として正式にサービスがスタートしたAdobeの「Firefly」。日本語で画像生成が可能と便利だが、クラウド上で処理されるため、PCのスペックは生成スピードに影響しない。低スペックのPCでも気軽に使えるのはよいが、ハイエンドGPUが活躍できないのはちょっと残念だ。画像生成だけではなく、オブジェクトの追加や削除、テキストに効果を追加など多彩な機能を用意している。

12GB以上から選びたい

 テスト結果からGeForceに関してはビデオメモリが10GB以上あったほうがよいのは明白だ。Windows環境でのRadeonやArcの最適化はまだまだこれからと言える。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-13900K(24コア32スレッド)
マザーボードMSI MPG Z790 CARBON WIFI(Intel Z790)
メモリMicron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)
システムSSDWestern Digital WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB]
電源Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)
OSWindows 11 Pro(22H2)
Stable Diffusion XL1.0でBaseモデルだけを使用。プロンプト用ワードとSeed値は固定し、Sampling methodは「DPM++2M SDE Larras」を選択、steps 30、Batch Count 3、Batch size 1設定で画像生成を完了するまでの時間を測定した。すべてPCを起動してから1回目の測定結果で、解像度は512×512ドットと768×768ドットの2種類で実行した

[TEXT:芹澤正芳]

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