週刊3Dプリンタニュース

魅力的なパーソナル3Dプリンタが続々登場

~49,800円の組立キットや折り畳み式のポータブル製品も~

 先週は1週お休みをいただいたので、2週間ぶりとなるが、今週も週刊3Dプリンタニュースをお届けする。ここ2週間の間に、パーソナル3Dプリンタの新製品が続々と発表されたので、そのニュースをまとめて紹介しよう。

49,800円で購入できるパーソナル3Dプリンタキット「PRN3D」

マイクロファクトリーの低価格パーソナル3Dプリンタ「PRN3D」

 マイクロファクトリー株式会社から登場した「PRN3D」は、組み立てキットと完成品の2形態で販売される、RepRapベースのパーソナル3Dプリンタだ。PRN3Dの最大の魅力は、組み立てキットで49,800円、完成品で59.800円という低価格の実現だ。

 RepRapベースのパーソナル3Dプリンタは十数万円程度で販売されていることが多く、5万円を切る価格は衝撃的。マイクロファクトリー代表の長塚氏によると、販売ルートを直販のみに限定し、3Dプリンタで造形した樹脂パーツを多用することで、大幅なコストダウンを実現したという。価格は下げても、精度や耐久性が要求される部分には金属製パーツを採用しており、他のRepRap系3Dプリンタと比べても遜色のない精度と耐久性を誇る。

 本体サイズは、420×250×320mm(幅×奥行き×高さ)で、横幅はやや大きめだが、最大造形サイズも170×170×160mm(幅×奥行き×高さ)と、パーソナル3Dプリンタとしてはかなり大きい。また、ヒーテッドベッドを標準装備しており、PLA樹脂だけでなくABS樹脂による造形も可能だ(フィラメントの直径は1.75mm)。ホットエンドのノズル径は0.4mmで、最小積層ピッチは0.05mmとかなり細かい。ヒーテッドベッドの厚みは3.2mmと一般的なものの2倍になっており、高い剛性を実現。ベッドの熱変形が抑えられ、高精度な造形が可能だという。今後は、フィラメントやカプトンテープなどの消耗品も、同社で販売していきたいとのことだ。

 PRN3Dは、10月29日に出荷が開始されており、組み立てマニュアルやソフトウェアの設定などについては、近日中に同社のサイトで公開予定である。自分で組み立てることで、3Dプリンタの構造をよく理解できるので、トラブル時の対処やメンテナンスもしやすくなる。3Dプリンタの組み立ても楽しみたいという人にお勧めの製品だ。

CoreXY方式を採用、小型のパーソナル3Dプリンタ「DS.1000」

スマイルリンクとディビジョンエンジニアリングが共同開発したパーソナル3Dプリンタ「DS.1000」
右のノートPCと比べればわかるように、DS.1000はかなりコンパクトなことが特徴だ

 スマイルリンク株式会社は10月17日、株式会社ディビジョンエンジニアリングと共同で開発したパーソナル3Dプリンタ「DS.1000」を発表した。

 DS.1000も、オープンソースベースの3Dプリンタであるが、ヘッドの駆動にCoreXY(正確にはそれを改良したH-Bot)と呼ばれる構造を採用したことが特徴だ。H-Botは、2つのモーターに直結されているタイミングプーリーと6箇所のアイドラプーリーをH型になるようにベルトで繋いだ構造になっており、2つのモーターを同方向に回転させることで、ヘッドがX軸方向に移動し、2つのモーターを互いに逆方向に回転させることで、ヘッドがY軸方向に移動する仕組みだ。この構造では、ヘッドの移動方向をY軸からX軸に変える場合、片方のモーターは常に同じ方向に回転するため、バックラッシュが生じないというメリットがある。

 DS.1000の本体サイズは、270×280×255mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトであり、設置スペースをあまり必要としないことも利点だ。その代わり、最大造形サイズは105×105×105mm(幅×奥行き×高さ)とやや小さい。ヒーテッドベッドは装備していないが、フィラメントはPLA樹脂とABS樹脂以外に、ナイロンも利用可能だ(フィラメントの直径は1.75mm)。PLA樹脂とナイロン利用時には、プラットフォームにメンディングテープを貼ることが推奨されている。PLAとABSに対応する製品は多いが、ナイロンのサポートを公式に謳っている製品は少ない。ナイロンは、PLAやABSよりも弾力性が高く、割れにくいことが特徴だ。ホットエンドのノズル径は0.4mmで、最小積層ピッチは0.05mmと細かい。造形時のヘッドスピードが100mm/sと速いことも魅力の一つで、短時間で造形が可能だ。

 DS.1000は11月上旬に予約受付を開始し、出荷は11月下旬の予定。価格は183,750円である。また、11月10日に東京・台場のコワーキングスペース「MONO」において、DS.1000の製品説明会が実施される予定だ。もちろん、説明会は無料だが、限定50名の事前予約制となっている。MONOイベント紹介ページから予約が可能なので、DS.1000に興味がある人は予約してみてはいかがだろうか。

※記事初出時、ヒーテッドベッドを装備している旨、記載していましたが、正しくは装備しておりません。お詫びして訂正いたします(10/31 13:36更新)

折りたたみ式ポータブル3Dプリンタ「Portabee GO」

romscraj社のポータブル3Dプリンタ「Portabee GO」
アーム部分を折りたたむと、このようにコンパクトになる

 ルナヴァーストは、ポータブル3Dプリンタ「Portabee GO」の予約キャンペーンを開始した。Portabee GOは、シンガポールのromscraj社が開発したポータブル3Dプリンタであり、折りたたんで持ち運べることが特徴だ。

 折りたたみ時の本体サイズは208×225×79mm(幅×奥行き×高さ)で、展開時は208×225×277mm(幅×奥行き×高さ)となる。重量はわずか約2.8kgであり、十分持ち運べる範囲だ。本体カバーが造形ベッド(プラットフォーム)も兼ねる設計になっており、展開時は片持ち動作となる。ヒーテッドベッドは搭載しておらず、使用できるフィラメントは直径1.75mmのPLA樹脂のみとなる。ホットエンドのノズル径は0.4mm、積層ピッチは0.1mmで、最大造形サイズは120×168×135mm(幅×奥行き×高さ)と、本体がコンパクトな割には大きい。

 Portabee GOの出荷開始は12月10日の予定で、通常販売価格は74,800円だが、初期予約キャンペーンとして11月20日までは、59,800円の特別価格で販売される。

(石井 英男)